梅干しは、日本の伝統的な保存食の一つで、塩漬けにすることで風味豊かな酸味が生まれます。手作りの梅干しには、各ご家庭ならではの味があります。また、手作りの梅干しには、添加物が入っていないため安心して食べられる良さがあります。
梅干しの効果には、食欲増進や消化促進、ビタミンCの補給などがあり、健康にも良い食品です。また、料理のアクセントとしても活用することができ、おにぎりやお茶漬けなど、様々な料理に合わせて楽しむことができます。
美味しく健康的な梅干しですが、梅を漬けると苦味が出ることがあります。その原因や対処法にはどのようなものがあるのでしょうか。
梅干しが苦い!苦味の取り方
ご家庭で梅干しを漬けて、苦味やえぐみが出ることがあります。
これは、梅の品種や熟成度によるもので、完全に苦味を取り除くことはむずかしいと言われています。
塩分濃度が高すぎるのも苦味が強くなる原因のひとつで、その場合は、塩抜きをすることが効果的です。塩抜きをすることで、苦味を軽減することができます。
また、梅干しを漬ける過程で、梅肉を傷つけないようにすることも重要です。
梅肉が傷つくと、苦味が出やすくなります。
塩抜きをして残った苦味が気になるときは、梅干しを砂糖とハチミツで味付けをしたり、醤油やカツオ節で味付けをしたりして、味梅として楽しむのも良いでしょう。
塩抜きをする場合の方法は、酸に強いガラス製などのボウルに梅干しを入れ、梅干しが浸るくらいまで水を注ぎ、しばらく待ちます。
浸しておく時間は、元の梅干しの塩分濃度や味の好みによって異なりますが、塩分濃度をチェックしながら、自分好みの味に調整しましょう。
適度な塩分になったら、梅干しをざるに上げて乾燥させます。
可能であれば、天日に干すことをお勧めします。
塩抜きした梅干しは痛みやすくなっているので、冷蔵庫に保存して約一か月の賞味期限になります。
カリカリ梅が苦い場合の対処法は?
カリカリ梅にする梅は青いうちに漬け込むので、灰汁が強く、苦味が強く出る場合があります。
市販されているカリカリ梅には、多くの場合、梅の灰汁やえぐみなどを除去する食品添加物が使用されていますが、手作りでカリカリ梅を作る場合にはどんなことに注意したら良いのでしょうか。
カリカリ梅を漬ける前の手順として
という工程があります。
まず、その時間を短くすることで苦味を軽減することができます。
その際、塩を軽く洗い流すことも忘れずに行いましょう。
酒や酢で洗っても苦味やえぐみを和らげることができますが、酒や酢を使用して洗った場合も、最後はよく水で洗い流してから漬けましょう。
それでも、出来上がったカリカリ梅に苦味が出てしまう場合は、梅干しと同様に砂糖やハチミツで甘さを加えて苦味を和らげます。
ただし、加糖量が多くなると、カリカリ梅の場合は賞味期限が短くなることに注意しましょう。
梅干しの苦味が残る原因は?
梅の品種によって、苦味が強いものや弱いものがあります
また、完熟度によっても苦味の強さが異なります。
熟した梅は、酸味や甘味が増し苦味は減少しますが、熟していない梅や熟し過ぎてしまった梅も苦味の原因になることがあります。
梅干しの苦味の主な原因となるのが灰汁で、梅の実の灰汁は熟成度により含有量が違ってきます。
青梅ほど多くの灰汁が含まれており、黄色くなっていくにつれ灰汁が少なくなりますが、しっかりと灰汁抜きをしないと苦みやえぐみを感じる出来上がりになってしまうんです。
梅干しの苦味が出ないように漬けるコツ
最後に、梅干しの苦味が出ないように漬けるコツを5つご紹介します。
梅の種類を選ぶ
梅の種類によって苦味が出やすくなってしまいます。
甘味の強い赤紫色の梅や、果肉が柔らかい品種を選ぶと苦味が少なくてまろやかな味に仕上がりますよ。
南高梅(なんこううめ)
―梅干しによく使われる品種で、果肉が緑色で繊維質が少なく、酸味が強いのが特徴です。
紅映(べにさし)
種が小さく、果肉が厚いので、果肉の柔らかな梅干しができあがります。
陽にあたると、表皮がきれいな紅色に染まるのが特徴です。
白加賀(しらかが)
白加賀梅は、梅干しにも梅酒にも合う使い勝手の良い品種とされています。
果肉が厚くしっかりしているのに、繊維が少ないという特徴があります。
大粒で美しい形をしています。
梅干し梅(うめぼしうめ)
―その名の通り、梅干しに適した品種で、果肉が赤く、酸味が強いのが特徴です。
繊維質が少ないので、食感もよく、梅干しにするのに適しています。
ほかにも梅干しに適した梅の種類は多くあると思いますが、梅の収穫時期や加工方法によっても味わいが変わってくるため、自分の好みに合った梅を探してみて下さいね。
その年の天候や気温の影響によっては、収穫量が減ったり、品質が劣る場合がありますが、毎年種類を変えて漬けてみるのも家で梅干しを漬ける楽しさだと思います。
梅の完熟度を確認する
梅が完熟すると、酸味や渋みが減り、甘味が増します。
完熟した梅を選ぶことで、苦味が少なくまろやかな味わいになります。
梅をきれいに洗う
梅を水でしっかりと洗い、表面の汚れを取り除くことで、苦味が出にくくなります。
ただし、完熟して黄色になった梅は柔らかく皮が薄いので、水に浸すとトラブルの原因になります。そのまま塩をまぶして干す方法が一般的です。
塩を適量にする
塩分が多いと、梅に含まれる成分が酸化して苦味が出やすくなります。
塩分濃度は高くなり過ぎないよう、調整しましょう。
梅干しの一般的な塩分濃度は10~20%の間で、市販の減塩梅干しの塩分濃度は5~10%程度です。
大きめの容器を使う
梅と塩を入れる容器は、梅の水分が多くなるため、大きめの容器を使い十分な空間を確保しましょう。
梅干しは発酵して酸っぱくなり、発酵が進むと液体が増えます。
大きめの容器を使用することで、液体が溢れるのを防ぐことができます。
梅干しを漬ける過程で、酵母や乳酸菌などの微生物が発生します。大きめの容器を使用することで、微生物の成長を促進し、より美味しい梅干しを作ることができます。
逆に、小さな容器を使用すると、液体が容器から溢れてしまう可能性があります。
容器の中で梅干しが詰め込みすぎになり、発酵や水分の循環が悪くなり、品質が低下するので、大きめの容器を使用することが望ましいです。